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連載講師紹介

講師 小田講師
職業 某大手企業の品質部長を歴任し、現在は、品質コンサルタント
専門分野 専門分野は品質管理、工程管理、安全規格が主であったが、
最近は、マネージメントシステム認証(ISO9000,ISO14000分野)の研究に
活動範囲を広げている。

連載項目

品質管理(初級編) - 第1回:現場を見る

はじめに

これから連載するテーマは物作り現場における品質管理の実際を、現場で直面した課題をどうやって解決したか、その手法や整理のしかたについてささやかながら現場で苦労されている方にお役に立てる一端になれば幸いと考えて連載することにしました。私たちは品質管理のひびきから連想するものは"硬い"とか"難しい"とか敬遠されがちです。しかしあまり難しく考えず、頭の整理として気軽の読んでいただければ幸いです。特に品質保証や品質管理のお仕事を初めてされる初心者の方に読んでいただくように出来る限りやさしく連載したいと思います。

品質管理とは

−順序、時間や方法を管理するお母さんの夕食と同じ−

私たちは日常使っているものや乗り物がどうやって作られているか考えてみた事がありますか。たとえば、家で夕食を作ることを考えて見ましょう。材料をそろえて、適当な大きさに切って焼いたり、煮たりで美味しい夕食ができあがります。実はこれを品質管理的に考えてみましょう。まず台所で夕食が作られるここが現場です。必要な材料、ムダは有りませんか、古い材料(野菜など)有りませんか、焼いたり煮たり順序は、時間は材料に似合ったものでしょうか。このように台所で行われていること、そのものが作業であり、目的にあった材料を、要領よく仕上げていくこの過程こそ製品をつくる現場で、品質管理そのものが行われているのです。品質管理を良い製品をつくる道具(ツール)とするならば"現場を観て"人や物の流れ、材料、機械などよく観察することが最も重要なことです。

4Mとは

物つくりの基本的な要素として4つのMを管理すれば、大きな問題は生じないと言われています。4つのMとは何でしょうか。具体的なことは後でお話するとして簡単にのべますと以下のようになります。

1. マン   (Man)       人です。
2. マテリアル(Material)  材料です。
3. メソド  (Method)    方法です。
4. マシーン (Machine)   装置です。

このMをとって4M管理といいます。この4Mを考えながら現場を観ていくと、何をすべきか、何が原因であるか等がつかめるのです。実際はどうでしょうか?工程で不良が大量に発生する要因は、この4Mに一つが起因していることがほとんどです。したがってこの4Mを日頃からいかに管理していくかが未然に問題を最小限に防止することになる訳です。

この他に、 『 3ム 』と言う言葉がありますので、覚えておくと良いでしょう。 『 無理・ムラ・ムダ 』を纏めて表したもので、より安定した品質を得、不要なコストを発生させないための戒めとして、わたしも日常的に繰り返し自問しています。

この章では"現場を観る"をテーマにしましたが、これは言いかえると"物つくりの現場"を知ることを意味します。すこし長い話になりましたが、最近、国際品質保証規格のISO9001を各企業が取得して第三者により定期的に審査されていますが、押しなべて申しますとこの4Mをどのように管理して、そしてその管理がユーザーにとって、更には企業にとって有益になっているかをマネジメントすることと理解していいのではないでしょうか。今回は品質管理のさわりについてお話させていただきましたが、実際はどうでしょうか、次回は品質管理の現場における思考の大原則と言われている『事実で考える』(3現主義)について、お話したいとおもいます。
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品質管理(初級編) - 第2回:事実で考える

前回は第1回と言うことで、品質管理が、日常の食事の調理と同じであることを、紹介しました。
つまり、手順や役割などを明確化して、日ごろの生活で、わたくしたちが何度繰り返しても同一に出来る調理、そんな安定した状況を企業の中で再現することが、品質管理の目的となります。
今回は、『 事実で考える 』と題して、問題に直面した時の最大にして最小限のルールをご紹介しようとおもいます。ちなみに、虎の巻 第1巻とでも言えるほど、簡単な内容のわりには、最も重要なものです。

本当のことを知っている唯一の人は誰? − 神様だけが知っている真実 −

私たちは、あらゆる製品活動を通じて多種多様な不良問題にぶつかりますが、その多くは、原因を十分に調べられないまま、問題の処置だけを(例えば、返品に対しては良品との交換等)行っているケースが多いように思います。
それは忙しいと言うことも大きな理由かも知れませんが、『 これが原因だ!! 』と言う確証が得られないのが本当のところでしょう。
良く私たちは、問題の原因を調べるため関係者にインタビューをして原因調査を行いますが、曖昧さが多く、それ以上踏み込んでの調査が出来ないと言った経験をされたことはありませんか?こんな時は、心底、『誰か、本当のことを教えて!!』などと思ったりするものです。
神様であれば、瞬時に原因を見抜き、対策を打てるのでしょうが。

それでは、神様では無い私たちは、どうしたら良いのでしょう?
事実で考える

そのためには、まず、『 事実で考える 』と言うことです。
予測/推論を排して、不良が残した足跡である『データ』や『結果』の事実に基づく思考を最優先することが、最も大事な問題解決の姿勢です。
最終的には、経験則や勘、予測なども入れて、原因確定/対策立案をする訳ですが、理解に苦しむ現象や難解な事象にぶつかった時に、安易に自分の考えだけで答えを弾き出さず、『事実』(いつの間にか、第3人称になってしまいました)に聞いてみることが大切です。

念のため − 結論を確定する前に、なぜを、5回繰り返して!! −

事実で考え、原因だと確信が持てたとしたら、しめたものです。
後は、その原因(複数ある場合もあるでしょう)毎に、対策を設定することで、不良を撲滅することが出来ます。
ただ念のため、最初の原因に対する確信が持てた時点で良いと思いますが、その時点で、一度、『 なぜ 』を5回繰り返して、自問自答して下さい。
これは、私の恩師が良く言っていたことなのですが、いくつかの原因が関係しあっている時は、実は表面的に見えているものは、真の原因ではないことが多いからです。それと、私たちはついつい『 自分の意見』に酔いしれてしまう傾向がありますので、抜けなどを予防する意味でも、大変効果が高いですので、是非、実行してみて下さい。

例えば、『出荷不足が発生し客先クレームとなったケース』では、次のような自問となるかも知れません。

・なぜ、出荷不足が発生したのか ⇒ 産工程が対応しきれなかった
・なぜ、対応しきれなかったのか ⇒ 突発で予定外の生産指示が発生
・なぜ、突発指示が発生したか ⇒ 生産計画外の客先注文を営業が受注
・なぜ、計画外の受注が生産されたのか ⇒ 生産管理部が営業入力の要求納期に対して、客先へ正式受注通知する前に、アラームを出さなかった
・なぜ、アラームが出なかったのか(一方、そもそも標準リードタイムを営業は知らなかったのか)

注.このケースでは、対策アクションは、生産部に対してでは無く、営業部と生産管理部、あるいは受注データシステムと言うことになります。

今回は、品質問題の解決にあたって『 事実で考える 』をテーマにしましたが、これは言いかえると、ややもすると忘れてしまいがちな、基本にたちかえることを意味します。
次回は、品質管理に関連する場での発言の大原則である 『データで語る』(データに語らせる)について、お話したいとおもいます。
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品質管理(初級編) - 第3回:データで語る

第2回では、正しく原因を知るために、事実のみで考えることの重要性を紹介しました。
実際、ついつい頭で考えているだけの『仮定』を、原因と思い込むことは、良くあることです。
大規模な生産工程の条件を、間違った原因に基づく対策で変更したとしたら、その損失と影響は大変大きなものとなります。それゆえ、『原因』を掴むための基本的なマナー(考え方/アプローチの仕方)を習得するとともに、地道にそれを守り通すことが、何より品質管理に関わる皆さんにとって重要だということになります。
今回は、前回の『 事実で考える 』後のお話として、真因が正しく掴めた後、どう関係者の理解を得、対策の協力を確保して行くかと言うことについて、お話したいと思います。

対策は一人では実行出来ない

不良の真因が掴めたとして、品質管理屋は、次に何をしたら良いでしょう。
生産中の工程条件を変えることは、容易ではありませんし、場合によっては費用も必要です。
また、設計問題であるとすれば、当然、設計変更をする必要がありますので、図面を初めとした変更を技術者に依頼しなければなりません。ほとほとさように、真実を掴んだとしても、一人では解決できず、関係者の力を借りるのが常です。従って、どう他の人間の理解を得るかも、重要な改善の要素といえます。では、どう関係者の協力を得るべきでしょうか?

データで語る

そのためには、まず、品質管理における基本的議論の姿勢を明確にする必要があります。それは、『データで語る』と言うことです。関係者をうまく説得したり、関心を引くと言ったことは、全く必要ありません。むしろ、それらに成功したとしても、それは一時のことに過ぎません。
データで語り(あるいはデータに語らせる)、事実を互いに共有することが、最も重要です。それゆえ、そこから無駄な議論や感情を排した、シビアで明確な判断が生まれるのです。データは、我々が考える以上に、雄弁です。

データと言っても大量な数字の羅列だけでは、読むほうも大変でしょうから、当然各種のグラフィカルな資料を用意することは、必要になります。

この点、品質管理の分野には、それらの良い解析手法/分析手法がありますので、大いに活用したいところです。これらのデータ解析/分析手法については、別の機会にご紹介したいと思います。

今回は、『データで語る(データに語らせる)』をテーマにしましたが、これは言いかえると、常に第3者的な冷静な目を維持しつづけることの重要性を、意味しています。
次回は、常にコストとの議論になる、『 検 査 』について、お話したいとおもいます。
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品質管理(初級編) - 第4回:検査について

今回は、検査について、お話したいと思います。
従来は、品質保証課が、検査課と呼ばれる時代があったほど、品質保証におけるウェートの大変高い業務の一つとなっています。

検査とは、何?

いかなる商品/製品も、その市場出荷の前に、品質が良いかどうかの確認のため、測定しますが、実は、測定するだけでは検査とは言いません。
測定結果をもとに、良否を判定して、初めて検査となります。つまり市場へ出荷してよいかどうかを、判定するものが、検査な訳です。これが工程の中間で行われますと、次の工程へ製品を移行してよいかどうかの判定となり、工程内検査(あるいは工程間検査)、と呼ばれることになります。
検査の種類は、その行われる時期的なものから、受入検査、工程間検査、出荷検査、返品検査などがあり、検査頻度やヤリ方の面から、直接検査、間接検査(証拠検査)、定期検査、無検査に区別されます。
上記それぞれが、検査個数の面から、全数検査、抜取検査、に大別されるのです。

検査の意義と、基本運営

企業にとって検査は、最後の不良を取り除くチャンスですので、大変重要な意味を持ちます。
お客様の手元に届いた、その時に、不良であるものを着荷不良(英語で、DOA)といいますが、これだけは是非、避けたいものです。
また、全ての不良が必ずしも、良品と大きな差がある訳ではないので、違いが分かる、訓練された人間が行う必要があります。また、最終的に判断に困ったときは、お客様の身になって判断することが、大事です。
そうやって考えますと、本当に検査と言うのは大事な活動だということが、再認識されます。

検査の廃止議論について

ある検査を無くそうとする場合、その議論が品質部門から提議されたもの以外は、筆者は、基本的に反対です。
品質部門から提議されて初めて、議論するに足りると判断しているからで、そう言った会社であればこそ、品質の良い会社として、市場から評価され、ある市場ポジションを勝ち取れるのだと思います。

品質意識の低い会社ほど、『検査を無くそう』 『検査は付加価値を生まない/必要無い』 などと言った議論が出ます。
その背景には、製品コストを下げるための一つの策として、検査コストを削減すると言った関連性があります。
しかし、お客様へ届く製品が常に高品質であることを願うのであれば、検査廃止は、手をつけるべきでない聖域と言うことになります。
検査廃止に頻繁に手をつける会社は、品質が良い時は検査を無くし、不良や苦情が客先から出ると再度検査をする、と言った繰り返しを常にする、行ったり来たりの品質管理となります。そう言った会社では、検査コストより遥かに多額の、苦情対応コストを、払っていることに気が付かない、進歩の無い会社に多いのです。

今回は、『 検査 』をテーマにしましたが、検査に関する統計的な知識や技術論では無く、実際の現場で遭遇する、検査そのものの基本運営や廃止議論を、どこに自身の重心を置いて、どう捌くかに、視点を絞って話をいたしました。
次回は、日本的品質管理の代名詞でもあります、『 小集団 』について、お話したいとおもいます。
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品質管理(初級編) - 第5回:小集団活動について

今回は、小集団活動について、お話したいと思います。
現在は、欧米で主流となっているコミュニティと言う呼び方をすることも、多く見受けますが、その辺のことも交えてお話したいと思います。

最新動向(事務系小集団コミュニティと、生産系QCサークル)

近年、欧米で盛んに行われた日本研究(生産性活動)のなかで、大いに注目を集めたのがQCサークルでした。
この頃日本では、主に生産現場で活発に行われていたQCサークル活動を、事務系作業へ適用するため、小集団活動と呼称して、全社内部門へその適用をさらに広げていました。

この欧米における日本生産性研究の結果、欧米では、事務系小集団活動を、コミュニティと呼ぶ小人数グループを核とした、知識マネージメント(ナレッジマネージメント)活動へと昇華させました。
昨今では、これらの研究がナレッジマネージメント関連の図書として、日本でも紹介され、コミュニティなる言葉を良く耳にするようになっています。このような流れは、生産現場の効率改善が大いに成果を上げてきた一方で、事務系作業のそれが立ち遅れ効率が悪く、多くの企業が事務系コストの改善へ、活動の重心を移している事が、その背景にあります。

おもしろいことに、欧米の文化である 『競争』 、これが社内活動での協力を妨げ、多くの欧米企業の業務を効率の悪いものにしてきましたが、上記のコミュニティでは 『協調』 を大原則としており、上記の研究に伴い、日本の良い点を取り入れていることが、よくわかります。
その形成のための導入プログラムも大変詳細なもので、これは、いかに協調関係をグループ内につくることが、欧米では困難で忍耐のいることかを、如実に表しています。昨今では、日本人も西洋化していると言われており、事務系現場で協調関係を確立することは、大変難しくなっていると予測しますので、同じ問題を日本も潜在的に抱えていることになります。

QCサークル活動の評価ポイント(良いQCサークルとは?)

冒頭で書きました通り、事務系業務改善が大いに企業の関心事となってきていますが、ここでは、QCサークルの基本理念、また、良いQCサークルとは何ぞやということを、QCサークルの評価項目から、明確化したいと思います。

【QCサークルの基本理念】

* 個の能力の向上
* 活力に満ちた職場作り
* 顧客満足の向上、社会への貢献、自己実現

【最高レベルのQCサークル】

* 自職場で扱っている商品の質の向上を目指す
* 商品の質の向上を目指し、技術、技能のレベルを、その時代の最良にする工夫をする
* 技能レベル向上のための、仕組みを考える
* 仕事の質の向上のため、QC的な物の考え方を活用し、そのレベルを向上している
* QC的物の考え方を向上させるために、QCサークルの運営に工夫をしている

小集団活動の今後

今後も、QCサークルを基本とした生産現場中心の小集団活動が、その輝きをますます増す一方で、多くの企業が事務系業務効率の改善手法の開発に、しのぎを削るものと予測します。
現状、多くの企業の事務系効率改善は、いわゆる 『個の知識』 を『集団の知識』にかえることを主眼にしたナレッジマネジメントが主体で、これまでも自部門内の師弟あるいは親分子分の関係にある人間間では、大いに行われていたことですが、一般的な人間のつながりの中で、自身のノウハウや暗黙知を、他人へ移転することは大抵の人間が拒否反応をしめします。
つまり、知識/ノウハウの移転(公知化)には、組織への情熱的な帰属意識が、普遍的にそのグループの常識として確立されている必要があるわけです。
それゆえ、現在の知識移転を主眼とした事務系効率改善へのアプローチの仕方は、筆者の個人的見解としては当面はあまりお勧めではなく、QCサークル/JIT(JIT:ジャストインタイム)と同様、業務フローあるいはそのムダ排からのアプローチが、依然主流なのだと考えています。言い換えると、花より実からの、アプローチです。
ちなみに、郵政省へ、トヨタ生産方式のコンサルタント(勿論、トヨタの人間)がその業務改善をするべく招聘され、大いに成果を上げていることは知られていますが、そのアプローチと手法は、従来のムダ排(JIT:ジャストインタイム)と全く同じだそうで、『個の知識を集団の知識へ』などと言ったことは、聞こえてきません。今後の事務系業務改善に関する手法の研究と、それに伴う高度化が、大いに待たれるゆえんです。

今回は、『 小集団活動 』をテーマにしましたが、日々の問題を提議する機会を定常的に設けるためにも、必ず皆さんの社内でも設置下さい。大変多くの知見と、改善案が埋もれているはずです。
ちなみに、日本で著名な品質管理の教授曰く、日本人の品質管理と、他国の品質管理の大きな違いは、日本人は『恥を知る人種』であることにつきると言っています。つまり、あまり多くを語らなくとも、自ら失敗をしない/繰り返さないように、努力すると言うのです。是非、そうありたいものです。
次回は、品質保証をする限り、かならず通ることとなる、『 客先対応について』(クレーム対応)、お話したいとおもいます。
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品質管理(初級編) - 第6回:客先対応について

今回は、『客先対応』です。
大抵の場合は、事故が発生しその後始末が品質保証部に回ってきて、初めて直接的な客先対応が始まります。出来れば、誰しも、気の重くなる事故処理などしたくない訳ですが、これを避けることは出来ません。
では、どうこれに向かい合い、どう処置するべきか、その辺を『 B to B 』(企業間取引)を対象としてお話したいと思います。

客先対応の基本的姿勢

それでは、お客様に『良く対応してくれた』と思っていただき、なお、自社の利益を守るためには、どう対応することが必要でしょうか?一般的な話としては、次のことを心掛けて、プラスサム(双方にとって利点がある)となるようにしてみてください。

まず、マナーとして、お客様の言い分を黙って全て聞くことが、初動対応として重要です。
これは、客先情報の漏れない聴取が出来るメリットもあります。
クレームを聞くと言うのが、本当にストレスになるのですが、おおよそ人と言うのは長くて30分ほどしか怒り続けられないもので(科学的に証明されている)、その後は冷静になるものです。

次に交渉する際は、品質保証部は常に客先の立場に立ちながら発言をするのが、大事となります。自社の言い分を強く明確にする際は、営業にその役回りを持ってもらうのが、良いでしょう。
これは、お客様はすべからく、営業は間を取り持つだけで基本的なミッションを持っていないと認識しているため(直接的な交渉相手では無いため)、角が立たない上、第3者的な発言として説得力を持ちますし、自社利益の面からズバッと発言しておかしくない立場にいるからです。
次に重要なことは、限界を常に明確にしておくことです。技術的に無理なことは、決して安易に約束してはいけません。それで綻ぶと、かえって信用を失います。

そして、究極には、自社が手を抜いたような同じ失敗を繰り返すようであれば、『これ以上はトップ/会社の問題』と腹をくくり、自身で抱え込まないことが大事です。この最後の開き直りは、忘れないようにしてください。
品質保証部は、魔法使いでは無いので、何でも出来る訳ではありません。従って、『企業体質はトップダウンが第一』と、少しは肩の荷を軽くすることです。

1.初動編
客先の言い分を、全て良く聞く
(お客様感情への配慮と、客先情報の漏れない聴取)
2.姿勢編/分担編
常に客先の立場に立つことを厳守する
(自社の言い分を明確にする場合は、営業/生産/技術等に分担してもらう)
3.対応編
現実的な限界を事前に明確にする(出来ること、出来ないことを明確化)
4.対策編
同じ失敗を絶対に繰り返さない
5.究極編
自社が怠慢な失敗を繰り返して止まらない場合は、トップの問題と腹をくくる

対策処置と出口管理

対策の立案と、客先との合意においては、問題点を明確にし、対策が論理的であること、データがしっかりしていることに、十分に気をつけてください。

また、最近の国際政治政策でも良く耳にしますが、『 出口管理 』(品質管理における出荷検査などでは無く、物事の終息のさせ方に関するマネージメント)に気をつけたいものです。

本当の客先対応(良い時も含めた配慮と知恵)

心からお客様の信頼を得、大いに互いに理解しあえることを望んで止みませんし、本当の信頼とは、悪い状況の時こそ、顕在化され、かつ形成(社内、社内共に)されるものですので、客先クレームこそが、客先の本当の信頼を得る良い機会であると考えます。

しかし、一方では、クレームが無い限り客先へは行かないのは、品質保証部に取ってはいかがなものかと考えております。状況の良い時にこそお客様を訪問し、語らうのも重要ですし、常に『怒られ役』の品質保証部が、品質の良い時に客先を訪問し、すこし溜飲を下げることがあってもよいのではと、現在は考えています。

客先対応とは、事故処置を通して、自社の利益を守りながらお客様の信頼を得、自社の製品へフィードバックさせることにつきますが、その一方で、実際的な配慮として、ストレスのかかる業務をこなす人員へ施す知恵も含んで(従来意識していない部分)、『本当の客先対応』と、定義/考えたいと思います。

今回は、『 客先対応 』をテーマにしましたが、実際の事故を通じて客先対応する人員の苦労を配慮した部分の記載も、すこしですがして見ました。
かと言って、品質保証部 皆さんのご苦労が減るものではありませんが、お客様対応における基本的な姿勢を維持するお役に立てれば良いかと思います(受身にならないことが、肝要です)。
次回は、品質保証を薦めるにあたっての前提つくりについて、 『 トップのコミットメント』と題してお話したいとおもいます。
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品質管理(初級編) - 第7回:トップコミットメントについて

今回で最終回となりました。
テーマは、本来は一番初めにお伝えしたかった 『 トップコミットメント(以下、コミットと省略) 』 です。
皆さんが活動を開始する前に、まず必ず明確にしなければならない最も大事なこと、それがトップコミットです。何より、活動の成否がここで決まると言ってもよいでしょう。

時代における品質体系思想の流れ

最後の掲載ですので、すこし横道から入りますが。わたくしが品質管理に接してから、これまでの変遷で言えば、

■『ボトムアップ』   (現場からの底上げ)が初め重視され
■『ミドルアップダウン』(中間管理層による高度化)が叫ばれ
■『トップダウン』   (経営者による強い牽引)に戻ってきた

と言うのが、ここ30年なのだと思います。
最近は、会社経営の形が米国流(戦略立案型)になるとともに、会社規模自体が大きくなるにつれ、トップダウンが主流となって来ました。

このようにトップダウンが主流の時代になってきましたが、実は、時代に関わらず、品質活動を成功裏におさめるためには、たった一つのことが必要なのです(十分条件ではありませんが)。
それが今回の主題であるトップコミットなのです。
そのことを、企業における活動と組織の面から、議論してみたいと思います。


品質活動推進の基本的障害(同時社内活動と人員の多様性)

皆さんが所属する会社が大きいほど、多くの全社的活動が同時に行われているはずです。
また、それらの複数の活動を推進しているそれぞれの関係者も、皆さんと同じように、何とかその活動を成就させようと思っていますので、もうこの時点で、それぞれが違う方向へ向いており、温度差があることになります。
その上、リソースも限られていますから、優先順位の高いもの以外は、どこの会社でも表面だけで終わってしまいがちです。
表面だけでは成功とは言えないでしょうし、むしろ形式だけならやらない方が良いとも言えます。

そんな時、力づくでやる気にさせることが、一般の会社で出来るかと言えば、絶対NOです。
そもそも企業活動として行うわけですから、相手の個人的な誠意にたよるようなことは間違いで、ビジネス(権限、義務、組織、利益)として成立している必要があります。
何より、そんな状況で、一人で七転八倒してがんばってはいけません。
なぜなら、企業活動の成否は、すべからくトップにあるのですから。

何は無くとも、トップコミットメント

では、どうすれば良いのでしょうか?
まず、指示に基づき、何らかの全社的活動をスタートしようと起草する場合は、常にトップ(社長)のコミットメントを得てください。
これは直属の上司から指示される時も同様でしょう。

何がしかのアクションを取るに当たっては、成功裏に行うための諸条件がありますから、その約束を取り付けるべきなのです。
会社のリソース(人、時間、お金)を使うことを考えれば、トップがコミットするのは当然の話です。
トップコミットが無い場合は、時節を得なかったと得心し、あるいは 『 それでは上手く行きませんが、宜しいですね 』 と、逆トップコミットを得るぐらいでなければなりません。

このようにトップを頂点とする活動体制が作れれば、成功もほぼ見えたも同然で、後は皆さんの腕次第です。
全てがこのように上手く行くわけではありませんが、ここで申し上げる『トップコミットありき』が、皆さんが品質活動を開始するにあたって、何より一番初めに行わなければならないことであることを、お忘れなく。


<連載を終えて>
今回連載では、統計的手法や検定などは記載せず、品質管理屋としての姿勢/考え方/方針、を主体に執筆しました。
それは、わたくし自身が30年以上を通じて大いに悩んだことも、やはり手法では無かったからです。
また、企業に入り自分の仕事を持ちますと、それが大抵は一生の仕事となるものです。
従って、その仕事に誇りが持て、大いに成果を上げられることが、企業人としての最高の成功なのだと思います。
そのことを念頭に連載させて頂きましたが、少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
次回執筆の機会には、道具である手法に関しての連載で、皆さんとお会いできればと思います。
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